社会人となって相手とコミュニケーションを図るとき、自分の意図した通りに相手が行動を移さないといったことはありませんか。
そんな相手にいらいらしてしまったり、ときに怒ってしまう経験がある人もいるでしょう。
今回は、対人コミュニケーションエラーの原因やその改善策について、アドラー心理学を踏まえて解説します。
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コミュニケーションエラー
私は医療従事者なので病院で経験したことを例に出しますが、多いのは患者によるリハビリテーションの拒否です。
自分は良かれと思って提案していることなのですが、どうも受け入れが悪いのはどうしてなのか疑問でした。
それは、相手が行動に移すときに、気付かない所でその出鼻をくじいてしまっていることがあるからです。
勇気くじきの3つのパターン
困難を克服する活力を奪ってしまうことを、アドラー心理学では勇気くじきといいます。
勇気くじきには以下の3つが挙げられます。
- 高すぎるハードル設定
- 未達成の指摘
- 人格否定
それではひとつずつ解説していきます。
高すぎるハードル設定
目標が低すぎては達成感が得られずにモチベーションは下がりやすいです。
しかし、反対にハードルを高くしてしまうと成功率が下がり、意欲が減退してしまいます。
このように、相手になにかを依頼する場合は、適切な難易度を設定することが必要です。
未達成の指摘
ものごとを達成できなかったときに、次のような声かけをしていませんか。
- なぜ
- どうして
本人としては取り組んできたのにも関わらず、頭ごなしに指摘してしまうと、人間関係が悪くなるリスクがあります。
人格否定
未達成の指摘後に相手の人格を否定してしまうと、自分は認めてもらえないと感じてしまい士気が下がります。
場合によっては組織にも影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
私的論理(プライベート・ロジック)
アドラー心理学の理論で「認知論」について解説しました。
初めて聞いた、または忘れてしまった方はこちらの記事から
そのなかでも、人間がもつ自己流の主観的な意味づけというものが存在し、それを私的論理(プライベート・ロジック)と呼びます。
アドラー心理学ではこのプライベート・ロジックを以下のように定義しています。
これは、コミュニケーションエラーにおいて知っておかなければならない概念です。
例えば3日後にプレゼンがあり、上司であるあなたは部下に資料作成を依頼しました。
添削をするので早めに資料を渡すように説明しましたが、実際に資料が届いたのはプレゼン当日の朝です。
それぞれの「早めの提出」について見てみましょう。
- 上司:前日の昼まで
- 部下:当日の朝まで
このように同じ対象であっても感じる内容は異なるということが、プライベート・ロジックになります。
こういったミスを減らすためには、価値観を共有するか、日付で伝えなければなりません。
基本的な誤り(ベイシック・ミステイクス)
先述したプライベート・ロジックと合わせて覚えておいて欲しいのが基本的な誤り(ベイシック・ミステイクス)です。
プライベート・ロジックにおいて、自分が生きにくいように非建設的な方向へものごとを考えてしまうような、自滅的な認知のことをいいます。
ベイシック・ミステイクスとして代表的なものは5つあります。
- 決めつけ
- 誇張
- 見落とし
- 過度の一般化
- 誤った価値観
それでは、ひとつずつ紹介していきます。
決めつけ
可能性に過ぎないものにレッテルを貼ってしまうことです。
決めつけの例をいくつか挙げます。
- 私はなにをやってもダメだ
- あの上司は私のことが嫌いだ
- 部下は仕事ができない
これらによって相手との信頼関係が築きにくくなることもあるので、すぐにこのような考えに陥りやすい人は気をつけましょう。
誇張
実際にはそこまでのものでなくても大げさに捉えてしまうことです。
誇張の例をいくつか挙げます。
- みんなが私を仕事ができないと思っている
- いつもあの人は機嫌が悪い
特に「いつも」や「みんな」などの言葉は要注意であり、そうでないときもあるということを認識しましょう。
見落とし
ある部分だけを見ることで大事な側面を見逃すことです。
見落としの例をいくつか挙げます。
- 反対意見ばかりだ(賛成意見もある)
- 失敗ばかり(成功もある)
人間は嫌な部分や感情が大きく関与した出来事を記憶しやすいため、正のフィードバックを見逃してしまうことがあります。
過度の一般化
問題がある領域だけでなく、他の領域もすべて問題視してしまうことです。
過度の一般化の例を挙げます。
問題であったのは仕事のミスだけであるのに、自分の人格すら否定してしまっています。
仕事と人格は別の領域であるため、考え方を改善することが大事です。
誤った価値観
自滅的や壊滅的な価値観でものごとを捉えてしまうことです。
誤った価値観の例を挙げます。
- 怒られたから仕事やめよう
- 仕事ができない自分は生きていても仕方がない
嫌なことがあるとネガティブになってしまうことは仕方がないことかもしれません。
しかし、結果として身を滅ぼしてしまうような考え方は褒められたようなものではないです。
アドラー心理学を仕事で活かすには
対人コミュニケーションエラーでは、アドラー心理学の考え方がとてもよく当てはまります。
私の経験ですが、事例を通して解説していきます。
事例1 患者
次に示すのは、若手時代に経験した患者の一言です。
当時はどう接して良いか分からず、結果として上司に担当を変更する苦い経験がありました。
この患者の言葉には2つのベイシック・ミステイクスが存在します。
- 決めつけ:リハビリは意味がない
- 誇張 :みんなが言っている
この場合、リハビリによる恩恵、効果がある人もいるということを伝えるべきだったのでしょう。
事例2 上司
新人時代にやたらと厳しい指導者から説教を受けることが多かったです。
仕事ができないことと存在価値はまた別の話であり、これは過度の一般化であると言えます。
当時はさすがの私も落ち込みましたが、根気強く仕事に向き合いました。
アドラー心理学を勉強していれば、上司の言っていることはベイシック・ミステイクスだと割り切ることができたのでしょう。
事例3 部下
2年目になり、新人指導を担当していたときに部下が漏らした一言です。
実際のところ私は褒めていましたが、他の指導者にきつく言われていたために見落としが生じていました。
また、「誰も」といった誇張によるベイシック・ミステイクスを認めていました。
適切な対応としては、私自身が部下の頑張りを認めていることをはっきりと伝えるべきだったなと感じています。
まとめ
対人コミュニケーションエラーの原因や改善策をアドラー心理学に基づいて解説しました。
多くの人はプライベート・ロジックやベイシック・ミステイクスにより非建設的な方向にものごとを考えてしまいます。
その考え方を修正して建設的な方向へ導くことが、対人コミュニケーションエラーの改善に繋がると私は考えています。
今回参考にした著書はこちらです。
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