こんにちは、理学療法士のけいです!
今回はコミュニケーションについてお話します。
病院に勤務していると、後輩からよく質問を受けます。
臨床推論や病態、治療手技はもちろんですが、新人を中心に多いのがコミュニケーションです。
今回は、心理学や行動経済学の観点から、コミュニケーション能力を上達させる方法についてお話していきます。
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コミュニケーションとは
そもそもコミュニケーションとはいったいなんでしょうか。
社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達。言語・文字その他視覚・聴覚に訴える各種のものを媒介とする。
出典:広辞苑
コミュニケーションというと、まず会話が思いつきますよね。
しかし、難聴の人に話しかけても会話が成り立たないといったことは、病院や地域でよく経験すると思います。
先ほども広辞苑で記されていましたが、言葉だけではないのです。
難聴の人にはジェスチャー、盲目の人には音など、その人に合わせた媒体を持って成立するものをいいます。
コミュニケーション能力が重要な理由
病院に勤務していると、あらゆる場面でコミュニケーション能力は重要になります。
実際には医師・看護師・MSWなど他職種との情報共有は日課といっても過言ではないでしょう。
つまり、コミュニケーション能力の向上は患者との関係性を築くだけでなく、職場環境にすら影響を与えます。
言い換えれば、コミュニケーション能力が低い人は、職場における自分の立ち位置を低くしてしまうかもしれません。
カンファレンスによる病棟連携
病院や地域など組織に所属していると、カンファレンスなどの情報共有はよく行われます。
そこには、自分と異なる職種の医療従事者も参加しているでしょう。
他職種に情報を伝達するときは注意することがあります。
・専門用語は極力控える
・結論から話す
・要約して簡潔に話す
例えば、看護師を相手に理学療法士の専門用語を伝えても通じない場合がありますし、その逆も然りです。
また、話が長く要点がまとまっていないと、結局何が言いたかったのかわからなくなってしまいます。
患者の申し送り
自分が休みの日などは、患者を他のスタッフに担当してもらうことがあるでしょう。
患者の申し送りが十分でないと、思わぬ事故を起こす場合があります。
例えば、次に挙げるような事例です。
・同姓同名の患者を誤認
・シャント側で血圧測定
・安静度の確認不足
こういった事例からレポートの作成など、余計な業務が増えることになります。
患者や自分を守るためにも、申し送りにおいてコミュニケーション能力は非常に重要となります。
患者とのラポール形成
理学療法士が患者と関わるうえで最も重要なのがラポールの形成です。
ラポールとは、もともとは心理学の用語で、セラピストとクライアントとの間の、互いに信頼し合い、安心して感情の交流を行うことができる関係が成立している、心的融和状態を表す。
引用:コトバンク
理学療法士をはじめ、医療従事者は患者を対象にコミュニケーションをとることが多くなります。
どんなに優れた理学療法士が運動プログラムを提案しても、患者の協力がなければそこに理学療法は成り立ちません。
患者の病態把握や臨床推論は非常に重要になりますが、まずはラポールの形成を大前提に患者と関わる必要があります。
どんなコミュニケーション能力が求められるのか
コミュニケーションが大事だということがわかりました。
それでは、いったいどんなコミュニケーション能力が求められるのでしょうか。
患者の主訴・不安を聞く能力
入院している患者は、自分の病状や今後のことについて不安に思うことが多いので、まずはしっかりと寄り添うことが大事となります。
相手の不安を聞き出し、話の主導権を一時的に譲ることで心を開いてくれることがあります。
一方的に訓練プログラムを押し付けてしまっては、相手も心を閉ざしてしまいますよ。
他職種へ正確に情報を伝える能力
病棟カンファレンスなど他職種と情報を共有する場面は意外と多いです。
円滑なコミュニケーションをとることによるメリットがあります。
・信頼関係が築ける
・カンファレンスが円滑に進む
・知らなかった情報を得ることができる
信頼関係を築くことで、他職種から相談を受けたりと働きやすい職場環境の改善につながります。
また、カンファレンスが円滑に進むことで、思わぬ情報が飛び出ることも。
コミュニケーション能力をアップさせる4つの方法
それでは、コミュニケーション能力を向上させる方法について紹介します。
より詳細に知りたい方は別の記事で挙げますので、今回はコミュニケーションの勉強に対するきっかけとなれば幸いです。
理学療法士の勉強方法について知りたい方はこちらまで
神経言語プログラミング(NLP)
神経言語プログラミング(以下:NLP)とは、3つの頭文字を取ってNLPと呼ばれています。
・Neuro(神経)
・Linguistic(言語)
・Programming(プログラミング)
心理学と言語学を組み合わせたもので、望む結果に患者を誘導するコミュニケーション手法になります。
NLPは、人が何か情報を得たときに、その人の脳の中で省略・歪曲・一般化によって偏った捉え方を修正する(認知させる)ことを目的とします。
リハビリのイメージを「痛い」「意味がない」と認知している人には、その考え方を訂正してあげることで受け入れが良くなったりします。
NLPの詳細は、別の記事で紹介していきますね。
アドラーの心理学
アドラーの心理学とは、オーストリアの心理学者「アルフレッド・アドラー」が提唱したものになります。
5つの理論を用いて相手を勇気付ける手法です。
- 自己決定性
- 目的論
- 全体論
- 認知論
- 対人関係
これらの理論の考え方を通して、相手を勇気付けて誘導していきます。
自分としては、私的論理(プライベート・ロジック)やベイシック・ミステイクスのような非建設的な考え方を脱却させ、建設的な思考へ誘導する方法を活用しています。
アドラー心理学の詳細は別の記事で紹介していきますね。
社会心理学(チャルディーニの法則)
コミュニケーションと社会心理学にはどんな関係性があるのでしょうか。
個人に対する社会活動や相互的影響関係を科学的に研究する心理学の領域の一つ。現在において社会心理学とは「社会における個人の心理学」と見なされている。
引用:Wikipedia
社会におけるということは、もちろん仕事上も必要になってきますよね。
社会心理学も学べばキリはないのですが、人間の行動原理に基づいた6つの法則を覚えるだけでも、患者を誘導するには十分だと思います。
- 返報性:ギブアンドテイク
- 一貫性:一度決めたら断りにくい
- 社会的証明:自分と類似した他人の行動
- 好意:好意を持った相手は受け入れる
- 権威:権威者には従う
- 希少性:貴重に思わせる
社会心理学の詳細は別の記事で紹介していきます。
行動経済学
行動経済学といった言葉は聞いたことがあるでしょうか。
行動経済学とは、経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法である。
引用:Wikipedia
要するに、人の心理的な行動分析した学問になります。
理学療法士として働いているのに、そんなことまで勉強しなければならないのかと思う人も居るでしょうが、知っておくと便利ですよ。
行動経済学も広い分野になるので、自分が参考にしている方法だけ紹介します。
- 最後通牒ゲーム:やる選択肢のみ提示
- ピークエンドの法則:快苦の度合いは終了時
- ザッツ ノット オール テクニック:追い討ち
- コンセンサス型/トップダウン型:統計型/信頼関係
行動経済学や社会心理学は、ネゴシエーター(交渉人)もよく勉強している分野になります。
相手の行動原理がわかれば、コミュニケーション次第で誘導は簡単です。
行動経済学の詳細は別の記事で紹介していきます。
コミュニケーションが苦手な人はどうしたら良いの?
コミュニケーションが苦手だという人は結構多いです。
そんな悩みを持っている人の解決策を紹介していきます。
吃音
吃音によりコミュニケーションに苦手意識を持つ人も多いでしょう。
吃音について知らない人のために説明します。
吃音(きつおん、どもり)は、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。発話の流暢性(滑らかさ・リズミカルな流れ)を乱す話し方を吃音と定義しています。
引用;国立障害者リハビリテーションセンター研究所
吃音の主な症状には、連発・伸発・難発があります。
時間内に話せなかったり、相手の反応を伺ってしまう場合があるので、対策を立てる必要があります。
・吃音であることを事前に伝える
・書面にしてコミュニケーションを取る
・ジェスチャーを用いる
冒頭でも説明しましたが、コミュニケーションは言語だけではありません。
そもそも、現在の世の中は「話せること」に注目し過ぎている気がします。
事前に吃音であるということを伝えることも、立派なコミュニケーションだと思いますよ。
人見知り
人見知りで話すことが苦手といった人も多いと思います。
そういった場合は、聞き役に徹することもひとつの手です。
・適切な相槌
・相手の主訴や不安の聴取
・表情などの非言語的コミュニケーション
誰だって初対面では緊張するものですから、無理に話そうとせずに、少しずつ関係性を築いていくことも大事ですよ。
実習生にもコミュニケーション能力が問われる⁉︎
理学療法士として現場で働き出して疑問に思ったことは、学生による臨床実習です。
今思えば、学生時代にコミュニケーションの勉強はほとんどなかった記憶があります。
そんな状態で臨床実習として急に現場に投げ出されては、学生は戸惑ってしまいますよね。
ハラスメント心理学についての記事もご参照ください↓
まとめ:コミュニケーションとは
コミュニケーションは単に話せることだけを指すのではなく、非言語的な側面も重要です。
コミュニケーション能力を向上させるためには、心理学や行動経済学など、相手の行動心理から紐解いていく方法もあります。
コミュニケーションに苦手意識を持っていても、対策を立てれば人とコミュニケーションを取ることは可能です。
これからも皆さまが、他者と良好なラポールを築けていけることを願っています。
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