痛風と聞いたときに、プリン体や暴飲暴食といった言葉を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
一定の心不全患者ではこの痛風が生じることを臨床でよく経験します。
今回は痛風の概要だけでなく、心不全と痛風の関係性についても解説していきます。
この記事を読んでわかること
- 痛風の症状や原因
- 心不全と痛風の関係
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痛風とは
暴飲暴食の翌日などに足の親指の付け根が腫れたり、痛みを伴う病気です。
突然発症することから痛風発作と呼ばれることもあり、痛みによって歩くのが困難になる場合もあります。
男女比でいうと男性に多い傾向です。
痛風の症状
痛風の症状は足の親指の付け根に走る激痛がイメージしやすいでしょう。
しかし、実際には足の指以外の疼痛や症状を認める場合があります。
- 手、膝関節などの多関節疼痛
- 耳介の痛風結節
- 尿路結石
疼痛による不動化が生じると、高齢者の場合は廃用症候群を招いて転倒リスクが高くなります。
また、尿路結石などは腎機能を悪化させて腎不全に陥る危険性があるので軽視してはいけない病気です。
それでは、痛風になる原因とはいったいなんでしょうか。
痛風の原因
痛風の原因は高尿酸血症であり、おもにプリン体を多く含む食生活や生活習慣が関与しています。
この尿酸が体内に多く蓄積されることで高尿酸血症として痛風発作を生じます。
それでは、プリン体を多く含む食品の一覧を挙げます。
- あん肝
- レバー
- モツ
- 白子
- かにみそ
- えび
上記で示すように、プリン体はおもに動物性食品に多く含まれており、偏った食事が痛風の原因でもっとも多いです。
痛風の検査
痛風を調べるために用いられるの検査一覧になります。
- 血液検査
- レントゲン画像検査
- 超音波(エコー)検査
各検査について解説していきます。
血液検査
血液検査では、おもに尿酸値の測定によって基準値を満たしているか確認します。
基本的に排尿機能低下や体内の尿酸増加によって起こります。
レントゲン画像検査
結節所見などの確認で実施しますが、尿酸塩結晶の沈着などは描出されません。
あくまで、レントゲン画像検査は他疾患との鑑別のためにおこなわれます。
超音波(エコー)検査
超音波エコーでは以下の所見を確認することができます。
- 関節周囲の炎症所見
- 関節内尿酸塩結晶の沈着
画像所見だけでなく、定期的に観察することで治療効果判定に用いることもできます。
心不全患者は痛風になる
ようやく本題ですが、一定数の心不全患者は入院中に痛風を発症し、離床が遷延してしまうことを度々経験します。
その原因は、利尿剤による循環血液量減少で以下の状態になるためです。
- 尿酸の濃縮
- 腎血流量低下による尿酸クリアランス低下(尿酸排泄低下)
慢性心不全患者の急性増悪例で、うっ血所見が強い患者においては痛風を発症する可能性があるので注意しましょう。
痛風の治療
痛風に対する治療としては、痛風発作と高尿酸血症の双方にアプローチする必要があります。
痛風発作 :NSAIDsによる鎮痛薬やステロイド薬
高尿酸血症:尿酸産生抑制薬、尿酸排泄促進薬
しかし、重症心不全患者においてはNSAIDsの使用は禁忌とされているので注意してください。
その理由は下の記事を確認しましょう。

また、痛風は対症療法だけでは再発リスクを認めるので、患者教育をして予防することも非常に重要です。
食生活や生活習慣の指導も合わせておこないましょう。
まとめ
痛風の概要と心不全患者との関係性について解説しました。
暴飲暴食などの偏った食生活で起こり得るものですが、心不全患者でも症状を認める場合があります。
心不全患者で関節痛や腫脹などの関節炎症状を認めた場合には、痛風発作の可能性を疑いましょう。
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