心不全患者の鎮痛薬には注意‼︎NSAIDsが禁忌となる理由を解説

循環器

心不全患者で膝や母趾の付け根に強い痛みを訴える人が一定数見られ、離床が遷延する場合もあります。

医師に痛み止めを依頼しても、なかなか積極的に使用を推奨してくれないと感じることはありませんでしたか。

私も若手時代であり医師に疑問を抱いていましたが、そこには理由がありました。

今回は心不全患者と鎮痛薬について解説していきます。

この記事を読んでわかること

  • NSAIDsの効果、適応、禁忌
  • 重症心不全患者にNSAIDsが禁忌となる理由
  • 心不全患者の疼痛コントロール

公式LINEでブログ更新をお知らせしています!登録していない方はぜひ!

友だち追加

スポンサーリンク

心不全患者が訴える痛み

急性期病院に勤務していると、一定数の心不全患者で疼痛の訴えにより離床が遷延する患者を経験します。

  • 不動化による筋膜性
  • 虚血性のよる胸部痛
  • 痛風

もともと腰痛がある人は、ベッド臥床による疼痛を訴える患者がいます。

胸部症状の出現はすぐに医師を呼びましょう。

3つ目に心不全と関係がなさそうですが、痛風を発症する患者は意外と多いです。

心不全と痛風についての記事はこちらから

心不全患者で痛風⁉︎症状や原因、メカニズムについて解説
痛風と聞いたときに、プリン体や暴飲暴食といった言葉を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。一定の心不全患者ではこの痛風が生じることを臨床でよく経験します。今回は痛風の概要だけでなく、心不全と痛風の関係性についても解説していきます...

強い疼痛にはもちろん疼痛コントロールとして鎮痛薬の処方を依頼しますが、心不全患者においてNSAIDsの使用は気をつける必要があります。

そもそもNSAIDsとはなんでしょうか、次の項目で解説してきます。

NSAIDsとは

NSAIDs(エヌセイズ)は非ステロイド性抗炎症薬の総称であり、以下の作用を持ちます。

  • 抗炎症作用
  • 解熱作用
  • 鎮痛作用

NSAIDsの英語表記は以下の通りです。

NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs

病院で処方されるNSAIDsの一例ですが、以下を参考にしてください。

  • セレコキシブ
  • ロキソプロフェン
  • ジクロフェナク
  • イブプロフェン

おそらくロキソニンなどは聞いたことがあるでしょう。

NSAIDsの副作用

NSAIDsの副作用は慢性疼痛治療ガイドラインで以下のように報告されています。

  • 消化管障害
  • 腎機能障害
  • 浮腫(肝機能障害)
  • 心血管系イベント
  • 喘息

どの薬剤でも副作用は必ず存在するため、知識として知いても良いでしょう。

特に腎機能障害悪化リスクを意識して頭を悩ましている医師も多いです。

NSAIDsの禁忌

薬剤の副作用が患者の病態を悪化させるリスクを認める場合は基本的に禁忌となります。

NSAIDsの禁忌となる疾患や症状は以下の通りです。

  • 消化性潰瘍がある患者
  • 重度の腎機能障害
  • アスピリン患者
  • 重度心不全

基本的に薬剤の調整は医師や薬剤師の判断に委ねますが、その理由を知っておくことで他職種とのコミュニケーションエラーを防ぐことはできるでしょう。

今回は心不全がテーマなので、重度心不全患者にNSAIDsが禁忌となる理由を解説していきます。

スポンサーリンク

重症心不全にNSIADsが禁忌となる理由

NSAIDsはプロスタグランジンの産生を抑制し、腎臓でのナトリウム再吸収を亢進させて心不全を悪化させます。

また、腎障害を引き起こしたり、抗血小板薬、抗凝固薬との併用で出血リスクを増加させることも要因になります。

プロスタグランジンとは、痛みや発熱を引き起こす生理活性物質であり、NSAIDsはこれらを抑制することで鎮痛作用を示します。

比較的心不全がコントロールされてきている時期では症状に合わせて処方されることもありますが、超急性期の不安定期は基本的に禁忌だということを理解しておきましょう。

ここまでの記事を読んでいると、次のように勘違いしてしまうかもしれません。

心不全では鎮痛薬を使えないのでは?

しかし、決してそういうわけではありません。

例えばNSAIDs以外の鎮痛薬を使用することができます。

有名なものではアセトアミノフェン(カロナール)などでしょうか。

まずは可能な範囲で疼痛コントロールがされているか確認することは必要です。

医師に相談することは間違いではない

結論を言うと医師に相談することは必要であり、そのメリットは以下の通りです。

  • 医師が患者状況を把握できる
  • 可能な範囲で疼痛コントロールが開始される
  • 他職種間における信頼関係の構築

医師は非常の多くの患者を抱えており、患者状況を把握しきれていない可能性があります。

また、医師に気を遣って相談できない患者もいますので、そこは関わりが多い看護師やセラピストが報告することも必要です。

また、こちらからコミュニケーションをとることで信頼関係が構築され、次回から相談が容易になることも。

コミュニケーションについて自信がない方はこちらの記事を参考にどうぞ

【医療従事者必須】コミュニケーション能力を上げる4つの方法!
KEIこんにちは、理学療法士のけいです!今回はコミュニケーションについてお話します。病院に勤務していると、後輩からよく質問を受けます。臨床推論や病態、治療手技はもちろんですが、新人を中心に多いのがコミュニケー...

医療現場はチーム医療なので、わからないことは積極的に他職種に相談するようにしましょう。

思わぬ恩恵が得られることもあるので、損することはありません。

スポンサーリンク

まとめ

今回は心不全における鎮痛薬について解説しました。

薬剤には副作用が存在するため、何も知らずに提案をするのでは他職種を困らせてしまうこともあります。

この記事では、心不全患者の疼痛では内服薬の注意点があるということを知っていただければ良いです。

提案ではなく相談できる間柄になれば、有効な信頼関係の構築に繋がることもあるので意識してみてください。

セラピスト関連の記事はこちらからどうぞ

理学療法士

公式LINEでブログ更新をお知らせしています!登録していない方はぜひ!

友だち追加

この記事を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村       

もし私の記事が参考になりましたら、バナーをクリックしてブログランキング上位になるために応援して頂けると嬉しいです!

あなたのクリックが原動力です、また次の記事でお会いしましょう!

他の記事はこちらから

コメント

タイトルとURLをコピーしました