心不全患者ではBNPの値が増加しますが、そのメカニズムを知っていますか?
BNPが示す意味を知ることで患者病態を把握する一助になります。
今回は、BNPの意義、病態メカニズムや診断基準について解説してきます。
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BNPとは
血液データの項目であるBNPの正式名称は「脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド」であり、脳で初めて発見されたホルモンだと言われています。
BNPは心不全を診断する有用な指標とされており、基準値やメカニズムを知ることは非常に重要です。
それでは、BNPについてより詳細に解説していきます。
BNPの基準値
BNPの基準値は18.4pg/ml以下になります。
BNPの副産物であるNT-proBNP(基準値:55pg/ml)を診断に用いる施設もありますが、診断基準を満たしているかが確認できればどちらでも良いです。
診断基準については、日本心不全学会が提唱している画像を参考にしてください。
つまり、それぞれの心不全診断基準値は以下の通りになります。
BNP:100 pg/ml
NT-proBNP:400 pg/ml
診断基準値を超える場合には循環器外来に受診し、精密な検査を受ける必要があります。
BNPが変動する要因
BNPが増加する要因は以下の通りです。
- 心機能低下
- 腎機能低下
- 全身炎症
- 高齢
BNPが低下する要因としては肥満が挙げられます。
BNPの作用
BNPによる働きは以下に挙げられます。
- ナトリウム利尿
- 血管拡張
- レニン、アルドステロン分泌抑制作用
- 心筋肥大抑制作用
- 線維化抑制作用
BNPは神経体液性因子であるRAA(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン)系や交感神経と拮抗作用を有していることから、心不全の診断基準として用いられることがわかりますね。
BNP増加のメカニズム
血漿BNP濃度上昇には以下の2つが関与しています。
- 心室負荷(心筋の伸展刺激)
- 神経体液性因子による刺激(拮抗作用)
心臓リモデリングやRAA系の代償機転によってBNPは増加します。
他にも、長期臥床による静脈還流量増加、圧受容器への刺激が長期的に加わることも要因の1つです。
BNPを下げるには
まずは心不全を予防することが第一選択となり、以下の3点が注意事項となります。
- 適切な食事
- 運動の習慣化
- 血圧管理
偏った食事は高血圧を引き起こし、後負荷を増大させて心筋リモデリングを進行させます。
また、有酸素運動は血管内皮改善を含め心血管疾患に対してポジティブな効果が多く報告されています。
心不全が疑われる場合にはなるべく早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
また、再発を防ぐために以下の指導内容を遵守する必要があります。
- 栄養療法
- 運動療法
- 服薬管理
心不全患者を担当する場合は、運動療法だけでなく患者指導も忘れないでくださいね。
まとめ
心不全診断マーカーであるBNPについて解説しました。
BNPの数値により病態把握につながるため、患者の血液データは確認するようにしましょう。
心不全予防がBNPの増加を防ぐポイントになりますので、経過観察の患者には徹底した指導を心掛けてください。
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