ペースメーカを使用している患者は数多く存在しますが、その設定について知っていますか。
今回はペースメーカの設定の種類と、心電図波形の判読ポイントについて解説していきます。
この記事を読んでわかること
- ペースメーカの設定、種類
- ペースメーカ心電図波形の特徴
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ペースメーカとは
主に徐脈性不整脈の疾患に対する唯一の治療法とされています。
徐脈性不整脈とは洞結節からの興奮が起こらない/起こりにくい場合や、刺激伝導系の異常により心室への興奮が生じない状態です。
ペースメーカの適応疾患の一例を挙げます。
- 房室ブロック
- 洞不全症候群(SSS)
- 徐脈性心房細動
各病態については別の記事で紹介します。
ペースメーカの種類
ペースメーカの種類は以下の通りです。
- Single chamber型
- Dual chamber型
- リードレス型
リードの数や有無によって分けられています。
ペースメーカの作動モード
実際にペースメーカがどのように作動するのかを示す設定を作動モードといい、NBGコードで表記されます。
NGBコードは5文字のアルファベットの配列で構成されますが、実際には最初の3つのみを表記することが一般的です。
抗ペーシングに対するNBGコードは以下の図の通りです。

五関善成:ペースメーカ心電図の判読ポイント~デバイス機能を理解する~
文字の位置が示す意味は次の通りです。
- 最初の文字(Ⅰ):ペースメーカが刺激を送る部位
- 2番目の文字(Ⅱ):ペースメーカが興奮を感知する部位
- 3番目の文字(Ⅲ):感知した興奮波に対する反応様式
- 4番目の文字(Ⅳ):レートレスポンス機能の有無
- 5番目の文字(Ⅴ):マルチサイトペーシング機能の有無
レートレスポンス機能とは、センサーを用いて下限心拍数を増やす機能のことです。
詳細は別の記事で紹介します。
臨床で多い作動モード
臨床で使用される頻度の多いモードは以下の通りです。
- AAI
- VVI
- DDD
それぞれについて解説していきます。
AAI
このモードは心房のみでペーシングとセンシングが実施されます。
設定されたレートでセンシングイベントがない場合に心房ペーシングが実施され、反対にイベントがあるとペーシングは抑制されます。
房室伝導が保たれた洞不全症候群(SSS)などが適応です。
VVI
このモードはAAIに対応するものであり、心室のみでペーシングとセンシングが実施されるものであり、適応は以下の通りです。
- 徐脈性心房細動
- 発作性房室ブロック
DDD
このモードは最も広く使用されており、心房と心室の両方でペーシングとセンシングを可能にすることで同期性が保たれます。
心房波の感知または心房ペーシング後、一定の設定時間(AV delay)内に心室波を感知すれば心室ペーシングを抑制し、感知しない場合はAV delayのタイミングで心室をペーシングします。
また、DDDモードの適応は以下の通りです。
- 洞機能不全
- 房室伝導障害
さらに、DDDペースメーカの作動パターンは4つに分かれます。
- 全て自己波形(ペースメーカ抑制)
- 心房ペーシング、自己QRS波形
- 心房に同期して心室ペーシング
- 心房、心室の両方が同期してペーシング
これらの作動パターンを見分けられるようにしましょう。
参考文献、著書
五関善成:ペースメーカ心電図の判読ポイント~デバイス機能を理解する~
掲載先:東京都医学検査 Vol.49 No.2
まとめ
ペースメーカは徐脈性不整脈に対する唯一の治療法として確立されています。
しかし全員が同じ設定ではなく、ペーシングやセンシング位置による違いを理解することが重要です。
設定を理解しておくことでその患者の病態把握にも繋がるので、ぜひこの記事の内容を理解しましょう。
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