心臓リモデリングの機序や原因を知り、適切な治療を理解しよう

循環器

みなさんは心臓リモデリングという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

心不全患者が増加してきており、医療従事者間でもよく使われるようになりました。

今回は、心臓リモデリングの概要は機序について解説します。

この記事を読んでわかること

  • 心臓リモデリングの概要、機序
  • 心機能低下による代償機転

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心臓リモデリングとは

心不全や心筋梗塞後では心臓にさまざまな変化が起こります。

  • 左心室の拡大
  • 心筋収縮力の低下
  • 心筋の線維化

心臓リモデリングは心不全発症や死亡率増加などの予後不良サインですが、いったいどうしてこのような変化が起きるのでしょうか。

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心臓リモデリングの発生機序

心筋梗塞後では、壊死した心筋部分が線維化による修復で瘢痕化が進行することで、梗塞部分の伸展や菲薄化が生じます。

その結果として左室容積は拡大します。

左室容量の拡大は心拍出量維持の代償機転

この梗塞部分の心臓壁に対するストレス増加は、非梗塞領域の心筋肥大、間質の線維化を引き起こすため、さまざまな症状を生じます。

  • 左室心筋重量の増加
  • 左室容積の拡大
  • 球型への左室形態の変化
  • 左室収縮/拡張機能低下

これらの症状が長期的に起こり続けると心不全に移行します。

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心臓リモデリングの原因

心臓リモデリングの原因はさまざまであるが、ここでは以下の2つにわけて解説します。

  • 心筋梗塞後
  • 慢性圧/容積負荷後

心筋梗塞後に起こる因子

心筋梗塞後の約30%が心臓リモデリングを発症するといった報告があり、その決定因子は以下の通りです。

  • 梗塞サイズ
  • 前壁梗塞
  • 再灌流療法が遅れた症例/失敗例
  • No reflow現象の有無

*no reflow現象:一定期間の虚血後の再灌流でも心筋への血流が回復しない現象

症状が乏しく急性期に適切な治療を受けていない患者は、陳旧性心筋梗塞(OMI)として発見されることが多いです。

その多くは拡張型心筋症様の左室機能低下を認める心不全として入院された時になります。

慢性圧/容積負荷後に起こる因子

慢性的に心臓に圧や容積負荷が起こり続けることで、代償機転として心臓リモデリングが引き起こされるとされています。

  • 高血圧症
  • 神経体液性因子

高血圧症では後負荷が増大するため、より強い心筋収縮力が必要となり、心臓(左心室)に負担がかかります。

また、RAA系や交感神経などの神経体液性因子も心臓リモデリングに関与します。

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心臓リモデリングの診断

心臓リモデリングの診断には以下の項目が重要とされています。

  • 左室駆出率(LVEF)
  • 左室収縮末期圧
  • 左室心筋重量
  • 相対的壁厚

心エコー図ではどの施設でも施行でき、非侵襲的で繰り返し可能という利便性が強みですが、描出不良といった問題点があります。

MRIでは正確性が優れている反面、問題点は施設によって検査が難しい場合や、繰り返し施行できない点です。

心臓リモデリングの治療

心臓リモデリングの機序や原因は説明しましたが、その治療はどうしたら良いのでしょうか。

治療に関しては2つに大別されます。

  • 再灌流療法
  • 薬物療法

それではひとつずつ解説していきます。

再灌流療法

心筋梗塞後の梗塞サイズが心臓リモデリングの進行に関与していることから、早期再灌流療法が重要です。

血栓溶解療法による梗塞血管の開存が保たれている症例は心臓リモデリングの進行を予防できるとされています。

また、急性心筋梗塞(AMI)には冠動脈インターベンション(PCI)が有効です。

薬物療法

再灌流療法による薬物治療では再灌流障害の予防が期待できるでしょう。

また、慢性的な圧/容積負荷による心臓リモデリングの進行には神経体液性因子が関与しているため、以下の薬剤が使用されます。

  • アンジオテンシン受容体拮抗剤(ARB)
  • アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
  • β遮断薬

効果が確立している薬剤治療は上記に挙げたものが中心となります。

心臓リモデリングと運動療法

薬物療法以外にも、リハビリテーションによる早期運動療法が心臓リモデリングの予防に有効であるとメタ解析で報告されています。

適切に処方された心不全の有酸素運動では、心臓リモデリングの予防に対して以下の効果が挙げられます。

  • LVEFの改善
  • BNP低下
  • 交感神経活性の抑制

LVEFの低下や神経体液性因子の関与は、心臓リモデリング進行による原因であるため改善することは予防に繋がります。

重要なのは、患者が継続して実践するように正確な運動療法、ここでは有酸素運動を指導することです。

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まとめ

今回は、心不全に発展する心臓リモデリングについて解説しました。

これらは不可逆的変化であり、進行を予防することが重要とされています。

有酸素運動はさまざまな恩恵が得られるため、適切な方法を指導して心臓リモデリングの予防に努めてください。

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